機能性表示食品の届出は販売開始の60日まで?!機能性表示食品の基礎知識や届出

「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の次に生まれた「機能性表示食品」。消費者庁の許可を得ることで、食品に機能性がある食品だということを大々的にアピール出来るようになりました。消費者が正しく情報を知ることができ、自分たちに必要な商品を選びやすくなったのも機能性表示食品のおかげです。

そこで機能性表示食品の基礎知識や届出の流れ、メリットなどを詳しく解説します。

機能性表示食品とは?

機能性表示食品とは、健康の維持や増進に役立つ効果をパッケージに表示することが出来る食品を指します。加工食品や生鮮食品、サプリメントなど様々な種類の食品が対象です。安全性が高く、科学的な根拠があることを国の消費者庁に届出をすることで、パッケージに効能などを加えて良いことになります。

パッケージに盛り込まれるのは事業者の責任となり、消費者が正しい情報を知って食品が選べるようにすることが求められているのです。許可を得た機能性表示食品のパッケージの表側には機能性表示食品であることや届出の番号、消費者庁に届けた機能性を記載します。

商品の裏側には一日あたりの摂取量や摂取方法、食べるときの注意事項や医薬品ではないことを加えます。病気の人や妊婦、未成年者などを対象に開発はされていないこと、機能性表示食品に頼るのではなく、毎日の食事のバランスを取ることも大切だと書き加えることが大切です。

さらに事業者の連絡先や一日あたりの摂取量に含まれている成分の量もパッケージに入れることが決められています。これらの情報は消費者庁のホームページで公開されるので、誰でも確認すること出来るのも良いところです。

機能性表示食品として扱えないのはアルコール飲料や糖分などを過剰摂取する可能性がある食品、医薬品に使用される成分を含んだ食品です。病気の人や乳幼児、高齢者など特定の人に向けた商品も、機能性表示食品として扱うことは出来ません。

機能性表示食品が誕生した理由

機能性表示食品の制度が導入されたのは、2015年のことです。機能性表示食品がない時代には健康食品などの効能や効果、機能性などの表示や表現に厳しい一面がありました。「痩せる」「病気が治る」など医薬品ではないのに大げさな表現や明らかにおかしな文言は禁止されていたのです。

一方で「〇〇の不調が気にならない」「朝からスッキリ」と曖昧な表現は違反になるのかハッキリせず、商品を手に取った消費者が戸惑ってしまうことがありました。そこで消費者が商品を見て正しい情報を得て、きちんと選べるようにしようとしたのが機能性表示食品の誕生のきっかけです。

パッケージに表示して良いものと悪いもの

パッケージに書くことが出来る表現と出来ない表現があるのも、機能性表示食品の特徴です。認められている表現と認められていない表現は、細かく決められています。認められているのは血圧や脂肪、中性脂肪を低下させるなど、比較的簡単に測定出来るものです。

体調を管理する上で身近な指標となるのを含めるのは、問題ありません。目のピントの改善や疲労感の緩和など、自分で体調の変化を自覚出来るようなものもパッケージに含めて良いことになっています。慢性的な症状の改善ではなく、あくまでも一時的な症状に効果があることとすることが重要です。

認められていない表現は、病気の予防や完治などを連想される言葉になります。アレルギー症状が治る、風邪が完治するなどの表現は基本的にダメです。また大げさな表現は誤解を招く可能性があるので、使ってはいけないことになっています。

機能性表示食品の分析方法に注意しよう

機能性表示食品の届出の流れ

パッケージに機能性表示食品と記載するためには、商品を販売する最低でも60日前に消費者庁に届出をする必要があります。届出を出す前にはどのようなことをパッケージに記載したいのか、食品にどんな機能性があるのか考えて、その内容をまとめて消費者庁に提出します。

提出された資料などを元に消費者庁が内容を確認して、問題がなければ受理番号が交付される流れです。交付されると提出した内容が一般に公開されます。消費者庁のホームページに情報をアップして60日が経過し、特に何もなければ販売がスタート出来るのです。

届出をする場合は安全性の根拠や生産と製造、品質の管理方法、健康被害の情報収集の体制や臨床試験のデータ、表示したい内容を含めた書類を用意します。機能性の根拠などを調べるので全ての書類を揃えるのは、かなり時間が掛かります。

スムーズに提出出来るようにするためにも、スケジュールをしっかり組んでから動くことがポイントです。

さらに提出してから何か問題があったり、不備があった場合には修正して再提出となります。再提出の連絡は、届出をしてから約2ヶ月後に来るのが一般的です。

複雑なデータや書類の提出もあるので、分からないときには専門家に頼ることも大事です。

機能性表示食品として売り出すメリット

機能性表示食品として売り出すメリットの一つに、機能性を大々的にアピール出来ることが挙げられます。機能性表示食品として売り出すことが出来れば他の食品と差別化を図ることができ、特別感をアピールすることに繋がります。

同じような商品でも機能性表示食品であることが強みとなり、消費者の手が伸びやすくなるのです。

科学的な根拠を示しているので曖昧な表現にならず、説得力のある文言が使えます。説得力のある言葉をパッケージに載せることで消費者の印象に残りやすくなり、大きな宣伝効果を得られることがあるのです。莫大な広告費を掛けなくても消費者に商品の良さを訴えかけることができ、売り上げアップに繋がることも珍しくありません。

生鮮食品にも機能性が表示出来るのも、大きなメリットです。今までの制度では生鮮食品に機能性の表示をすることは出来ず、良い商品があってもパッケージの文章に制限がありました。機能性表示食品の制度が誕生したことで効果的とされる摂取量や機能性に関連する成分を見つけ出せれば、パッケージに機能性を加えられるのです。

これによって野菜や魚など、幅広い食品に機能性が付け加えられるようになったのです。

販売側にもメリットがいっぱい

消費者にストレートな言葉でアピール出来る機能性表示食品。自信のある商品を堂々と宣伝出来るのは、企業にとって大変プラスとなります。成分の効果などを直接訴えることができ、消費者の心を揺さぶれるのが魅力です。

届出をするときにはきちんと科学的な根拠を示し、時間を掛けて準備するようにしましょう。販売開始のスケジュールも合わせて、計画的に行います。